準確定申告とは|期限は4か月・起算点と必要ない場合、e-Taxの落とし穴まで
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親を見送ったあとの手続きを調べていくと、「4か月以内」という見慣れない期限が出てきます。相続放棄の3か月と相続税の10か月にはさまれているせいで印象に残りにくく、しかも窓口が役所ではなく税務署なので、気づいたときには残り日数が少ない——そうなりやすいのが準確定申告です。
この記事は、所得税法の条文と国税庁の案内だけを使って、準確定申告とは何か、期限をいつから数えるのか、申告が必要ない場合の条文上の要件は何か、そして提出の実務でつまずきやすい点を順に整理したものです。相続手続き全体の並びは7日・3か月・4か月・10か月・3年に分けた相続手続きの期限チェックリストで確認できます。
結論
準確定申告は、年の途中で亡くなった人のその年の所得税を、相続人が代わりに申告する手続きです。根拠は所得税法125条で、期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで。起算点は死亡した日そのものではありません。
要否は「その人が生きていたら確定申告をしなければならなかったか」で決まります(125条1項)。所得税法121条が定める申告不要の要件に当てはまる人であれば、準確定申告も義務ではないという構造です。
つまずきやすいのは3点。1月から3月の間に亡くなると前年分と本年分の2年分になること、提出先が被相続人の死亡当時の納税地を管轄する税務署であること、そして国税庁の確定申告書等作成コーナーでは準確定申告書を作れないことです。

準確定申告とは何ですか?
準確定申告とは、年の途中で亡くなった人について、その年の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を相続人が計算し、申告する手続きです。所得税法125条が根拠で、国税庁は「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」という名称で案内しています。
申告するのは相続人(包括受遺者を含みます)です。亡くなった本人はもう申告できないため、その年の分だけ相続人が引き継いで出す、と考えると位置づけが分かりやすくなります。
| 項目 | 通常の確定申告 | 準確定申告 |
|---|---|---|
| 申告する人 | 本人 | 相続人(包括受遺者を含む) |
| 対象になる期間 | その年の1月1日から12月31日まで | その年の1月1日から死亡した日までに確定した所得 |
| 期限 | 原則として翌年3月15日 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 |
| 提出先 | 本人の納税地を所轄する税務署 | 被相続人の死亡当時の納税地の税務署長 |
| 付表 | 「死亡した者の…付表」は使わない | 各相続人等の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入した付表を添付する |
出典:国税庁 No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(2026年8月13日確認)。
国税庁は同じページの「根拠法令等」として「所法16、85、124、125」などを挙げています。つまり準確定申告の根拠が所得税法124条と125条であることは、国税庁自身が明記しているということです。この記事でも、その2つの条文を軸に説明します。
準確定申告の期限はいつまでですか?
期限は4か月です。所得税法125条1項は、年の途中で死亡した居住者について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は「その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日」までに申告書を提出しなければならない、と定めています。
読み落としやすいのは起算点です。条文は「死亡した日から」とは書いておらず、「相続の開始があったことを知った日の翌日から」と書いています。遠方に住んでいて連絡が遅れた場合など、死亡した日と知った日がずれることがあるためです。
| 手続き | 期間 | 条文・案内の起算点の書き方 |
|---|---|---|
| 相続の単純承認・限定承認・放棄 | 3か月 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から(民法915条1項) |
| 準確定申告 | 4か月 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで(所得税法125条1項) |
| 相続税の申告・納税 | 10か月 | 被相続人が死亡したことを知った日の翌日から(国税庁 No.4205) |
出典:e-Gov法令検索 所得税法125条、e-Gov法令検索 民法915条、国税庁 No.2022、国税庁 No.4205「相続税の申告と納税」(いずれも2026年8月13日確認)。
3つとも似た言い回しですが、同じではありません。相続放棄は「知った時」、準確定申告と相続税は「知った日の翌日」から数えます。手続きごとに条文の書き方が違うので、まとめて「死亡日から◯か月」と覚えないほうが安全です。

「知った日」を入力して目安の期限日を並べたいときは、相続手続きの期限チェッカーに日付を入れると、7日・3か月・4か月・10か月・3年の期限日を一覧で表示できます。ただし初日不算入などの細則までは反映していない目安なので、実際の期限は税務署や専門家に確認してください。
3か月の相続放棄と並行して考えることになる場面も多いはずです。放棄の期限と手続きは相続放棄の3か月の起算点と家庭裁判所への申述手続きで別に整理しています。
1月から3月に亡くなると、なぜ2年分になるのですか?
前年分の確定申告書を出さないまま亡くなった場合、その前年分も相続人が出すことになるからです。この場面を定めているのが所得税法124条です。
124条は、確定申告書を提出すべき居住者が「その年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合」には、相続人が「相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日」までに、その申告書を提出しなければならないと定めています。
国税庁も同じ内容を注記しています。原文は次のとおりです。
確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合、この場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
出典:e-Gov法令検索 所得税法124条、国税庁 No.2022(いずれも2026年8月13日確認)。
ここから読み取れることが2つあります。ひとつは、前年分と本年分の2つの申告が必要になる場合があること。もうひとつは、その2つの期限が同じ日になることです。前年分だけ3月15日、というふうには分かれません。
確定申告の時期に重なって慌ただしくなりやすい場面ですが、期限が同じである以上、書類集めも2年分をまとめて進めることになります。亡くなった方が毎年確定申告をしていたなら、まず前年分を提出済みかどうかを調べるところから始めてください。


準確定申告が必要ない場合はありますか?
あります。125条1項が「提出しなければならない」としているのは、その人のその年分の所得税について「第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するとき」です。つまり、準確定申告が要るかどうかは、その人が生きていたら確定申告が必要だったかで決まります。
そして、確定申告をしなくてよい場合を定めているのが所得税法121条です。条文が挙げている主な要件を、そのまま並べます。
| 条文 | 対象 | 条文が定める要件(要旨) |
|---|---|---|
| 121条1項1号 | 1か所から給与を受けている人 | その年の給与等が2,000万円以下で、1か所から給与を受け、年末調整をされた(されるべき)場合に、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であるとき |
| 121条1項2号 | 2か所以上から給与を受けている人 | 従たる給与と、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であるときなど |
| 121条2項 | 退職所得がある人 | 退職手当等の全部について源泉徴収をされた(されるべき)場合 |
| 121条3項 | 公的年金等を受けている人 | その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象であり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるとき |
出典:e-Gov法令検索 所得税法121条、e-Gov法令検索 所得税法125条(いずれも2026年8月13日確認)。
終活えらびの読者に関係が深いのは3項です。公的年金を受け取りながら暮らしていた方については、この項が定める要件に当てはまるなら、そもそも確定申告をしなくてよい人ということになり、準確定申告も義務ではないという整理になります。
ただし、**ここに書けるのは条文の要件までです。**ご家族の場合が要件に当てはまるかどうかは、年金以外の収入や源泉徴収の状況を1つずつ確認したうえでの判断になります。この記事では「あなたの場合は不要です」という当てはめはしません。判定は被相続人の死亡当時の納税地を管轄する税務署、または税理士に確認してください。

義務がないことと、出さないほうがよいことは別です
条文上の申告義務がない場合でも、**源泉徴収されていた所得税が納めすぎになっていて、申告すると戻ってくる(還付になる)ことがあります。**所得税法125条2項は、還付等を受けるための申告書を「提出することができる」と定めており、義務の1項とは書き分けられています。
| 条文 | 対象になる申告 | 条文の書き方 | 4か月の期限 |
|---|---|---|---|
| 125条1項 | 納める必要がある場合の準確定申告 | 提出しなければならない | 4月を経過した日の前日までと定めがある |
| 125条2項 | 還付等を受けるための申告 | 提出することができる | この項には4か月という期限は書かれていない |
| 125条3項 | 確定損失申告 | 提出することができる | 4月を経過した日の前日までと定めがある |
出典:e-Gov法令検索 所得税法125条(2026年8月13日確認)。
この表で示しているのは、条文の文言にこうした違いがあるという事実だけです。還付を受けるための申告をいつまで出せるのかという取扱いまではこの記事では扱いません。還付になりそうな場合は、税務署または税理士に確認してください。
自分たちで判断しきれない、あるいは事業所得や不動産所得があって計算が複雑だという場合は、相続に対応する専門家に相談する方法もあります。身近に相談先が思い当たらない場合は、税理士ドットコムで相続に対応する税理士を探すといった紹介サービスから探すこともできます。
相続人が複数いるとき、誰がどう申告しますか?
相続人等が2人以上いる場合、国税庁は2つの方法を案内しています。各相続人等が連署により提出する方法と、他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出する方法です。
後者を選んだ場合には条件が付きます。国税庁は「当該申告書を提出した相続人等は、他の相続人等に申告した内容を通知しなければならない」と書いています。別々に出せるとはいえ、内容を伏せたまま各自で完結させる形ではありません。
| 項目 | 国税庁の案内 |
|---|---|
| 申告する人 | 相続人(包括受遺者を含む) |
| 相続人等が2人以上のとき | 各相続人等が連署により提出する。または他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出する |
| 別々に提出したとき | 提出した相続人等は、他の相続人等に申告した内容を通知しなければならない |
| 必ず添付するもの | 各相続人等の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表 |
| 還付金を代表者が受け取るとき | 付表とは別に、還付金の受領に関する委任状の提出が必要 |
出典:国税庁 No.2022、国税庁「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」、国税庁「還付金の受領に関する委任状」(PDF)(いずれも2026年8月13日確認)。

付表の正式名称は「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」です。相続人が誰で、どういう続柄かを書く用紙なので、**戸籍で相続人の範囲を確認してからでないと埋まりません。**戸籍集めに何週間かかりそうかを見積もっておくと、4か月の使い方を組み立てやすくなります。
なお、国税庁 No.2022には、関連する質疑応答事例として「民法上の相続人が不存在の場合の準確定申告の手続」が挙げられています。相続人がいない、あるいは分からないという状況であれば、その事例を窓口で示して確認してください。
戸籍の取り寄せは銀行の相続手続きとも共通する作業です。どの書類がどこで何通必要になるかは銀行の相続手続きで必要になる書類と主要5行の違いにまとめてあります。
準確定申告書はどこへ提出しますか?
提出先は、被相続人の死亡当時の納税地を所轄する税務署長です。国税庁は「準確定申告書には、各相続人等の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表を添付し、被相続人の死亡当時の納税地の税務署長に提出します」と案内しています。

間違えやすいのは、申告する相続人自身の住所地の税務署ではないという点です。相続税の申告先も「亡くなった人の住所地を所轄する税務署」とされており、どちらも相続人の住所地が基準ではありません。手続きを分担して進めるときほど、提出先を最初に共有しておくと行き違いが減ります。
出典:国税庁 No.2022、国税庁 No.4205「相続税の申告と納税」(いずれも2026年8月13日確認)。
e-Taxで準確定申告はできますか?
できます。ただし、**毎年の確定申告で使っている「確定申告書等作成コーナー」では準確定申告書を作れません。**国税庁は専用ページで次のように書いています。
国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから(略)準確定申告書の作成はできません。e-Taxソフト等をご利用になり、e-Taxで送信してください。
ここが、この手続きで最も多くの人が止まるところです。作成コーナーの操作に慣れているほど、同じ入口から始めて途中で行き詰まります。電子申告で出すなら、最初からe-Taxソフト等を使う前提で準備してください。
| 項目 | 国税庁の案内 |
|---|---|
| 電子申告できる年分 | 令和2年1月6日以降に提出される令和2年分以後の準確定申告書(令和元年分以前は電子申告できない) |
| 使うソフト | 確定申告書等作成コーナーでは作成できない。e-Taxソフト等を利用する |
| 送信する書類 | ①準確定申告書(XML)②確定申告書付表(XML)③準確定申告の確認書(PDF)④委任状(PDF) |
| 付表の扱い | 相続人が1名の場合でも付表をXML形式で提出する必要がある |
| 確認書の扱い | 相続人が2名以上いる場合は、各相続人が申告内容等を確認し署名したうえで、確認書のイメージデータ(PDF)を送信する |
| IDと電子証明書 | 相続人代表のID(1名分のみ)と相続人代表の電子証明書(1名分のみ) |
| 氏名欄の書き方 | 「(被相続人)国税 太郎」または「(被相続人)国税 太郎 (相続人)国税 花子」。全て全角・30文字以内 |
出典:国税庁「所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について」(2026年8月13日確認)。
国税庁はこの対応について、「青色申告特別控除(65万円)の適用が受けられるよう、また利便性向上のためe-Taxでの電子申告に対応しました」と経緯を説明しています。亡くなった方が青色申告をしていた場合に関わる話なので、事業所得や不動産所得があった方については、この点も含めて税務署か税理士に確認しておいてください。

注意したいのは対応する年分です。令和元年分以前の準確定申告書は電子申告できないと明記されています。何年か前の分をさかのぼる話が出てきたときは、年分によって手段が変わることを前提に窓口へ相談してください。
医療費や保険料の控除は、どこまで入れられますか?
判断の軸は死亡の日です。国税庁は、準確定申告における所得控除の適用について、支払った時期で線を引く形で案内しています。
| 控除 | 国税庁の案内(要旨) |
|---|---|
| 医療費控除 | 対象は死亡の日までに被相続人が支払った医療費。死亡後に相続人等が支払ったものを被相続人の準確定申告で医療費控除の対象に含めることはできない |
| 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除 | 対象は死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額 |
| 寄附金控除 | 対象は死亡の日までに被相続人が支出した特定寄附金 |
| 配偶者控除・扶養控除等 | 適用の有無の判定は死亡の日の現況により行う。控除額の月割計算等は行わない |
出典:国税庁 No.2022「準確定申告における所得控除の適用」(2026年8月13日確認)。
とくに問い合わせが多そうなのが医療費です。入院費の請求書が亡くなったあとに届き、相続人が支払ったという場面はよくありますが、国税庁は死亡後に相続人等が支払ったものを被相続人の準確定申告の医療費控除に含めることはできない、と明記しています。領収書を集める段階で、支払った日と支払った人を分けて記録しておくと後が楽です。

逆に、誤解されやすいのが控除額のほうです。年の途中で亡くなったからといって、**配偶者控除額や扶養控除額を月割りすることはしません。**国税庁は「月割計算等は行いません」と書いています。
なお、扶養に関する控除には新しいものも加わっています。国税庁は「特定親族特別控除額」についても月割計算等は行わないと案内していますが、この控除は令和7年12月1日施行・令和7年分以後の適用とされています。古い年分の解説記事と混ぜて読まないよう、年分を必ず確かめてください。
ほかの相続手続きとは、どういう順番で進めますか?
期限の短いものから担当と窓口を決めるのが基本です。準確定申告の4か月は、相続放棄の3か月と相続税の10か月にはさまれた位置にあります。
- 3か月:相続放棄・限定承認を検討するかどうかを決める(家庭裁判所)
- 4か月:準確定申告(被相続人の死亡当時の納税地の税務署)
- 10か月:相続税の申告と納税(亡くなった人の住所地を所轄する税務署)
準確定申告の準備で集める戸籍や、亡くなった方の収入の資料は、相続税の申告や銀行の手続きでも使います。先に4か月の作業を進めておくと、10か月に向けた資料の一部が先にそろうという関係にあるので、後回しにするほど手戻りが増えます。

終活全体のなかでどの手続きから手を付けるかに迷っている場合は、終活でやることを緊急度別に整理した優先順位マップから順番を確認してください。
よくある質問
準確定申告の期限は、亡くなった日から4か月ですか? 条文の起算点は「相続の開始があったことを知った日の翌日」です。所得税法125条1項は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日までに提出しなければならないと定めており、死亡した日を基準にはしていません。すぐに知らせを受ける立場なら死亡日と一致することもありますが、条文の書き方は「知った日の翌日」です。
年金だけで暮らしていた親でも、準確定申告は必要ですか? この記事では判定できません。準確定申告が義務になるかどうかは、その人が生きていたら確定申告をしなければならなかったかで決まり(所得税法125条1項)、所得税法121条3項は公的年金等の収入金額が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象であり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときを申告不要としています。要件に当てはまるかどうかの判定は、被相続人の死亡当時の納税地を管轄する税務署または税理士に確認してください。
準確定申告書は、確定申告書等作成コーナーで作れますか? 作れません。国税庁は専用ページで「国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーから(略)準確定申告書の作成はできません。e-Taxソフト等をご利用になり、e-Taxで送信してください」と案内しています。電子申告で出す場合は、最初からe-Taxソフト等を使う前提で準備してください。
相続人が複数いる場合、全員がそれぞれ申告書を出すのですか? 国税庁は、各相続人等が連署により提出する方法と、他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出する方法の2つを案内しています。別々に提出した場合、提出した相続人等は他の相続人等に申告した内容を通知しなければならないとされています。いずれの方法でも、各相続人等の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入した付表を添付します。
亡くなったあとに届いた入院費を相続人が払いました。医療費控除に入れられますか? 被相続人の準確定申告の医療費控除には含められません。国税庁は、対象になるのは死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人等が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできない、と明記しています。支払った日と支払った人を分けて記録しておいてください。
出典:e-Gov法令検索 所得税法121条、e-Gov法令検索 所得税法125条、国税庁 No.2022、国税庁「所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について」(いずれも2026年8月13日確認)。
まとめ
- 準確定申告は、年の途中で亡くなった人のその年の1月1日から死亡した日までに確定した所得と税額を、相続人が申告する手続き(所得税法125条)
- 期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日」まで。死亡した日からではない
- 前年分を出さないまま1月から3月に亡くなった場合は、前年分と本年分の2つが必要になり、どちらも期限は同じ(所得税法124条・国税庁 No.2022の注記)
- 要否は「生きていたら確定申告が必要だったか」で決まる。申告不要の要件は所得税法121条にある
- 125条1項は「提出しなければならない」、2項の還付等を受けるための申告は「提出することができる」と書き分けられている。還付になりそうな場合の取扱いは税務署または税理士へ
- 提出先は被相続人の死亡当時の納税地の税務署長。相続人自身の住所地ではない
- 相続人等が2人以上なら連署、または他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出(別々の場合は他の相続人等への通知が必要)。付表の添付は共通
- **確定申告書等作成コーナーでは準確定申告書を作れない。**e-Taxソフト等を使う。電子申告できるのは令和2年分以後
- 所得控除は死亡の日で線を引く。死亡後に相続人が支払った医療費は対象外で、配偶者控除額・扶養控除額の月割計算等は行わない
本記事は一般的な制度と手続の流れをまとめたものです。個別の判断は弁護士・司法書士・税理士など各分野の専門家、または各自治体の担当窓口にご確認ください。