銀行の相続手続きに必要な書類|主要5行の違い・期限と集める順番

銀行の相続手続きに使う書類は、どの金融機関でも同じではありません。 亡くなった方の戸籍を「出生から」求める銀行がある一方、ゆうちょ銀行は「婚姻(初婚、未婚の場合は16歳)から」と案内しています。

先に戸籍や印鑑証明書を一式そろえるより、取引のある金融機関へ連絡し、遺言書・遺産分割協議書の有無に合った案内を受け取ってから集めるほうが手戻りを減らせます。 なお、銀行の相続手続きとは、口座名義人が亡くなったあと、預金などの払い戻しや名義変更を行うために、相続関係と受取人を金融機関へ示す手続きです。 実際の必要書類は、遺言書、遺産分割協議書、遺言執行者、取引商品の有無などによって変わります。

銀行ごとに必要書類はどこが違いますか?

違うのは、書類の名前だけではありません。戸籍をさかのぼる範囲、証明書の期限、手続きの入口、法定相続情報一覧図の扱いまで金融機関ごとに分かれます。

まず、主要5行の差が出やすい部分だけを並べます。これは必要書類を網羅する表ではなく、集め始める前に見分けるための早見表です。

金融機関銀行所定の書類被相続人の戸籍に関する案内先に知っておきたい違い
三菱UFJ銀行相続届出生から死亡までの連続した戸籍謄本等遺言書・協議書・遺言執行者の有無で4パターン
三井住友銀行相続に関する依頼書出生から死亡までの連続した戸籍謄本戸籍謄本と法定相続情報一覧図に1年以内という銀行側の条件
ゆうちょ銀行相続確認表婚姻から死亡まで。未婚の場合は16歳から相続確認表を先に出し、後日届く案内に沿って書類を準備
りそな銀行相続手続依頼書除籍謄本・戸籍謄本。ケース別に案内必要書類や依頼書の案内から4ヶ月以内という銀行運用
みずほ銀行相続関係届書3つのケースを選んで必要書類を表示原本返却を希望する場合は提出時に申し出る

所定書類の名前は5行すべて異なります。似た名前でも共通様式ではないため、別の銀行でもらった書類を流用するものではありません。

また、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は被相続人の戸籍を出生から求めていますが、ゆうちょ銀行は婚姻からとしています。どちらが正しいという違いではなく、提出先が採用している受付基準が違うということです。

出典:三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」三井住友銀行「相続の手続方法」ゆうちょ銀行「相続手続き」りそな銀行「相続手続の流れ・必要書類」みずほ銀行「大切な方が亡くなられたら」(いずれも2026年8月9日確認)。

書類を集める前に何を整理すればよいですか?

最初に整理するのは、戸籍の枚数ではなくどのケースの手続きになるかです。取引銀行、遺言書・遺産分割協議書・遺言執行者の有無、貸金庫や預金以外の取引を確認してから各行へ連絡します。三井住友銀行とみずほ銀行は、死亡の連絡後に入出金を停止すると案内しているため、引き落としや振込先の変更も準備します。

銀行の書類集めとは別に、相続放棄・相続税・相続登記には期限があります。終活で期限のある手続きを緊急度順に並べた優先順位マップで全体を分けて管理してください。家族の担当が決まっていないときは、親が倒れた直後から1週間の動き方に沿って連絡役と書類役を分けます。

出典:三井住友銀行「相続の手続方法」みずほ銀行「大切な方が亡くなられたら」(いずれも2026年8月9日確認)。

三菱UFJ銀行では何を用意しますか?

三菱UFJ銀行は、遺言書、遺産分割協議書、遺言執行者の有無で4パターンに分けています。共通して銀行所定の「相続届」を使いますが、誰の署名・実印・印鑑証明書が必要になるかはケースによって変わります。

ケース公式案内で挙げられている主な書類
遺言書も遺産分割協議書もない相続届、戸籍謄本等、印鑑証明書
遺言書がなく遺産分割協議書がある相続届、遺産分割協議書、戸籍謄本等、印鑑証明書
遺言書があり遺言執行者がいない相続届、遺言書、戸籍謄本等、印鑑証明書
遺言書があり遺言執行者がいる相続届、遺言書、戸籍謄本等、遺言執行者の印鑑証明書

印鑑証明書は、公式案内では発行日より6ヵ月以内です。被相続人の戸籍は出生から死亡まで連続したものに加え、法定相続人を確認できるすべての戸籍謄本等を求めています。ただし遺言書があるケースでは、戸籍謄本等を省略できる場合があります。

法務局の認証文が付いた法定相続情報一覧図の写しを提出する場合、三菱UFJ銀行は戸籍謄本の同行への提出を原則不要としています。複数の金融機関で手続きをする家庭では、戸籍の束を銀行ごとに出し入れする負担を減らせる可能性があります。

出典:三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」(2026年8月9日確認)。

三井住友銀行では何を用意しますか?

三井住友銀行は4つのケースに分け、銀行所定の書類を「相続に関する依頼書」と呼んでいます。預金などを名義変更で相続する場合は、別に「印鑑届」も使います。

公式ページで確認できる「遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合」の主な書類は次のとおりです。

種類主な書類銀行側の条件
相続関係法定相続情報一覧図の写し、または被相続人の戸籍謄本一覧図は作成日より1年以内、戸籍謄本は発行日より1年以内
相続人の確認一覧図、またはすべての相続人の戸籍抄本・戸籍謄本被相続人の戸籍で確認できる場合は不要
印鑑すべての相続人の印鑑登録証明書、手続者の実印印鑑登録証明書は発行日より6ヵ月以内
分割内容遺産分割協議書すべての相続人の署名・捺印を確認
銀行所定書類など相続に関する依頼書、通帳・証書・キャッシュカード等名義変更では印鑑届も使用

戸籍謄本、印鑑登録証明書、遺産分割協議書などは原本を提示し、銀行がコピーを取ったあと返却する案内です。遺言執行者による請求を除き、原則として相続する方全員の印鑑登録証明書を求めています。

一覧図の作成日と戸籍謄本の発行日を1年以内とするのは、三井住友銀行の受付条件です。法定相続情報一覧図という制度自体が1年で失効するわけではありません。公式資料には2021年3月末現在の法令等に基づくとの注記があるため、この記事では銀行の必要書類と受付条件だけを参照しています。

出典:三井住友銀行「相続の手続方法」三井住友銀行「遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合」(いずれも2026年8月9日確認)。

ゆうちょ銀行では何を用意しますか?

ゆうちょ銀行は、最初から必要書類一式を窓口へ持っていく流れではありません。先に「相続確認表」を提出し、専門部署から届く「必要書類のご案内」に沿って準備する点が他行との大きな違いです。

手続きは次の6段階です。

  1. ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口、相続コールセンターへ申し出る
  2. 相続確認表を準備する
  3. 相続確認表を貯金窓口へ提出する
  4. 郵送される案内に沿って必要書類を準備する
  5. 必要書類の原本を貯金窓口へ提出する
  6. 相続払戻金を受け取る

相続確認表は、相続Web案内サービスやゆうちょ手続きアプリでも準備できます。相続確認表の提出後、約1〜2週間で、ゆうちょ銀行貯金事務センターから案内が郵送されます。

公式ページが「例」として挙げる書類は、遺言書の有無で分かれています。

遺言書がない場合の例遺言書がある場合の例
被相続人の婚姻から死亡までの連続した戸籍謄本被相続人の婚姻から死亡までの連続した戸籍謄本
被相続人の貯金通帳等被相続人の貯金通帳等
相続人の印鑑登録証明書遺言書、相続人・遺言執行者の印鑑登録証明書
遺産分割協議書がある場合は同協議書遺言執行者選任審判書が必要になる場合あり
払戻金を受け取る相続人の実印相続人・遺言執行者の実印

戸籍の範囲は、初婚から死亡までです。未婚の場合は16歳からと案内されています。三菱UFJ銀行と三井住友銀行の「出生から」と比べると、ゆうちょ銀行が求める例示上の範囲は狭くなっています。

一方、法定相続情報一覧図については、ゆうちょ銀行の相続手続きの流れページで扱いが示されていません。これは利用できないという意味ではないため、一覧図を使いたい場合は、相続確認表の提出時や案内を受け取った段階で窓口へ尋ねてください。

出典:ゆうちょ銀行「相続手続き」(2026年8月9日確認)。

りそな銀行では何を用意しますか?

りそな銀行は、銀行から必要書類の案内を受けて準備・提出し、その後に届く「相続手続依頼書」を記入して再度提出する流れです。公式ページは、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行の4行に共通する案内になっています。

必要書類は、遺産分割協議や遺言、遺言執行者の有無で変わります。遺言も協議書もない場合は、相続手続依頼書、通帳等、実印、被相続人と相続人の戸籍関係書類、相続人全員の印鑑登録証明書が中心です。遺言があれば遺言書や検認関係書類、遺産分割協議をした場合は相続人全員が署名・実印で捺印した協議書などが加わります。

印鑑登録証明書は発行後6ヵ月以内です。被相続人と同じ戸籍にいる方など、一定の場合は被相続人の戸籍関係書類が不要になる旨も案内されています。法定相続情報一覧図で代用できることも明記されています。

りそな銀行で特に注意したいのは、銀行独自の提出期限です。必要書類は「必要書類のご案内」から4ヶ月以内、相続手続依頼書も同書類の案内から4ヶ月以内に提出するよう求めています。この4ヶ月は法定期限ではなく、りそな側の手続き運用です。

期限に間に合わない事情があるときの扱いをこの記事で判断することはできません。案内を受け取ったまま時間がたっている場合は、書類をそろえて送る前に取引店へ連絡し、現在使える様式と提出方法を確認してください。

出典:りそな銀行「相続手続の流れ・必要書類」(2026年8月9日確認)。

みずほ銀行では何を用意しますか?

みずほ銀行は、遺言書も遺産分割協議書もない、遺産分割協議書がある、遺言書があるという3つのケースから選び、必要書類を表示する方式です。銀行所定の書類は「相続関係届書」と呼ばれます。

公式に確認できる手続きの流れは4段階です。

  1. WEB受付フォームまたは電話で死亡の連絡をし、資料を取り寄せる
  2. ケースに合った必要書類を準備する
  3. 返信用封筒で書類を提出する
  4. 払い戻しなどの手続きを受ける

連絡後は口座の入出金が停止されます。書類提出後の完了目安は約2週間ですが、預金以外の取引があると、さらに日数がかかる場合があります。ローンや貸金庫があると、郵送だけではなく来店が必要になることもあります。

必要書類は原本提出が原則です。原本の返却を希望する場合は提出時に申し出ると、みずほ銀行がコピーを取ったうえで返却する案内になっています。戸籍謄本をほかの金融機関でも使う予定があるなら、返却希望を伝え忘れないよう提出物の控えに書いておくと管理しやすくなります。

みずほ銀行のFAQでは、相続関係届書、戸籍謄本、印鑑証明書を挙げたうえで、遺言書の有無などによって必要書類が異なると案内しています。

ケース別に画面へ表示される個々の書類は、この記事では推測して一覧化しません。みずほ銀行から届く相続手続きの案内と、公式ページで自分のケースを選んだ結果を基準に準備してください。

出典:みずほ銀行「大切な方が亡くなられたら」みずほ銀行FAQ「相続手続きにはどんな書類が必要ですか。」(いずれも2026年8月9日確認)。

法定相続情報一覧図を使うと何が変わりますか?

複数の銀行で手続きするなら、法定相続情報一覧図を検討する価値があります。法定相続情報一覧図とは、戸除籍謄本等の束と相続関係を表した図を登記所へ提出し、登記官の確認後に認証文付きの写しを受け取る制度です。

法務局が案内する制度の要点は次のとおりです。

項目内容
制度の創設2017年5月
交付手数料無料
申出先被相続人の死亡時の本籍地、最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産所在地のいずれかを管轄する登記所
保存期間申出日の翌年から起算して5年間
再交付保存期間内は再交付を受けられる

最初の申出では戸除籍謄本等を集める必要がありますが、認証文付きの写しを受け取ったあとは、銀行ごとに戸籍の束を提出する負担を減らせます。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行は、法定相続情報一覧図を戸籍関係書類の代わりに使える旨を公式に示しています。

一方、ゆうちょ銀行の相続手続きの流れページと、みずほ銀行の確認済みページでは、一覧図の扱いが示されていません。使えないと決めつけず、各行の案内を受け取った時点で利用の可否と必要な写しの条件を尋ねるのが適切です。

注意したいのは、有効期限の考え方です。法務局は一覧図を5年間保存し、その間の再交付を案内しています。三井住友銀行の「作成日より1年以内」は銀行が設けた受付条件であり、法定相続情報一覧図が法務局の制度上1年で失効するという意味ではありません

出典:法務局「法定相続情報証明制度について」法務局「具体的な手続について」(いずれも2026年8月9日確認)。銀行での扱いは三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」三井住友銀行「遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合」りそな銀行「相続手続の流れ・必要書類」(いずれも2026年8月9日確認)。

銀行の相続書類はどの順番で集めますか?

手戻りを抑える順番は、口座を洗い出す、各行へ申し出る、ケース別の案内を受け取る、証明書を取る、原本の返却を管理するです。

  1. 通帳、カード、郵便物、銀行アプリから取引行を一覧にする
  2. 遺言書・遺産分割協議書・遺言執行者の有無を各行へ伝える
  3. 各行の所定書類と必要書類の案内を受け取る
  4. 戸籍の範囲と証明書の受付条件を並べてから取得する
  5. 郵送前にコピーを取り、提出先と原本の返却予定を記録する

実家の通帳や書類を探すときは、実家じまいで名義・親族の意向・物の仕分けを進める順番に沿って金融書類を先に別保管します。家財整理を業者へ頼む段階なら、遺品整理の費用相場と業者選びで確認する項目を読み、銀行関係の原本を搬出対象から外してください。

三井住友銀行は原本を確認後に返却すると案内し、みずほ銀行は返却希望を提出時に申し出る方式です。最初から印鑑証明書を人数分取らず、発行期限のある書類ほど銀行の案内後に取得します。

出典:三井住友銀行「遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合」みずほ銀行「大切な方が亡くなられたら」(いずれも2026年8月9日確認)。

よくある質問

銀行が違っても同じ戸籍を出せば済みますか? 同じとは限りません。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は出生から死亡まで、ゆうちょ銀行は婚姻から死亡までの戸籍を案内しています。各行から届く案内と照合してください。

法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本は不要ですか? 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行は戸籍関係書類の代わりに使える旨を示しています。ゆうちょ銀行とみずほ銀行は、確認したページだけで利用可否を断定せず、窓口へ条件を尋ねてください。

法定相続情報一覧図は1年で使えなくなりますか? 法務局の制度として1年で失効するわけではありません。5年間の保存・再交付制度があり、1年以内という条件は三井住友銀行側の受付条件です。

銀行へ連絡すると口座は止まりますか? 三井住友銀行とみずほ銀行は、死亡の連絡後に入出金を停止すると案内しています。引き落としや振り込みがある場合は、連絡前に変更先を整理してください。

出典:三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」三井住友銀行「相続の手続方法」ゆうちょ銀行「相続手続き」りそな銀行「相続手続の流れ・必要書類」みずほ銀行「大切な方が亡くなられたら」法務局「法定相続情報証明制度について」(いずれも2026年8月9日確認)。

まとめ

本記事は一般的な手続の流れをまとめたものです。個別の判断は弁護士・司法書士・税理士など各分野の専門家にご相談ください。