遺品整理の費用相場|間取り別の目安と、業者選びで確認する5つのポイント
遺品整理の費用は、複数の情報源を並べると 1R・1Kで3万〜8万円、3LDKクラスで12万〜60万円 という幅に収まります。 ただしこれは「間取りごとの定価」ではありません。同じ3LDKでも、物の量とエレベーターの有無だけで倍近く変わります。
この記事では、相場を幅として示したうえで、金額が動く理由と、業者を比べるときに何を見ればいいのかを整理します。
費用相場は単一の金額ではなく「幅」で見る
結論から言うと、遺品整理の費用に公的な統計はありません。 公開されているのは事業者やポータルサイトが自社の実績からまとめた目安で、同じ間取りでも情報源によって上限が2倍以上違います。
3つの情報源の目安を並べると、次のようになります(いずれも2026年8月時点で公開されている数字)。
| 情報源A | 情報源B(集合住宅) | 情報源C | |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 3万〜8万円(税別) | 3万〜8万円 | 3万〜8万円 |
| 1DK・1LDK | 7万〜15万円(1LDK〜2DK) | 5万〜12万円(1DK) | 5万〜20万円 |
| 2DK・2LDK | 12万〜25万円(2LDK〜3DK) | 9万〜25万円(1LDK〜2DK) | 9万〜30万円 |
| 3DK・3LDK | 18万〜35万円(3LDK〜4LDK) | 12万〜40万円(2LDK〜3DK) | 15万〜50万円 |
| 4LDK以上 | 記載なし | 15万〜50万円(3LDK〜4DK) | 22万〜85万円 |
- 情報源A: ベプライスの遺品整理料金相場の解説(税別表記)
- 情報源B: おうちにプロの遺品整理費用相場(マンション・アパートの数字。同ページの一軒家は1LDK 7万〜25万円、3LDK 15万〜60万円、5LDK以上27万〜80万円)
- 情報源C: お清め不動産の遺品整理費用ガイド
区切り方(1DKを単独で扱うか1LDKとまとめるか)も情報源ごとに違うため、表の数字は「この範囲に入ることが多い」という程度の意味しかありません。 1社の見積もりを見て高い・安いを判断するのが難しいのは、比較の基準そのものが定まっていないからです。
金額を動かしているのは間取りではなく4つの条件
同じ間取りでも金額が変わる理由は、おおむね次の4つに整理できます。
- 物の量:作業人数と処分費に直結します。おうちにプロの目安では1R・1Kが1〜2名で1〜3時間、3LDKでは最大8名・5〜12時間と、必要な人手が数倍になります。
- 搬出の条件:エレベーターのない階段作業、トラックを停められる位置が遠い、道が狭くて2tトラックが入らない、といった条件は人件費を押し上げます。
- オプション作業:消臭・消毒、ハウスクリーニング、害虫駆除、エアコンの取り外しなどは基本料金と別枠です(おうちにプロの目安では消臭・消毒10,000円〜、ハウスクリーニング30,000円〜)。
- 買取の有無:値のつく品があると作業料金から差し引かれることがあります。
つまり、電話で間取りだけを伝えて出てきた金額は、まだ見積もりではなく概算です。 金額を確定させるには、家の中を見てもらう必要があります。
料金の型を比べる:訪問見積もり・定額パック・買取型
依頼の形は大きく3つに分かれます。どれが良い・悪いではなく、向く場面が違います。
| 訪問見積もり型 | 定額パック型 | 買取併用型 | |
|---|---|---|---|
| 料金の決まり方 | 現地を見て物量・作業条件から算出 | トラックの台数や間取りで固定 | 作業料金から買取額を差し引く |
| 向いている場面 | 物が多い・条件が特殊・金額を確定させたい | ワンルームなど量が読める | 家電・家具・骨董などに値がつきそう |
| つまずきやすい点 | 日程調整に時間がかかる | 積みきれない分が当日に追加請求されることがある | 何をいくらで引き取るのかが不透明になりやすい |
| 事前に確認すること | 見積書の内訳と有効期限 | 「積み放題」の高さ・体積の上限 | 買取品目と査定額を書面に残せるか |
国民生活センターは2022年11月2日の不用品回収サービスのトラブルに関する注意喚起で、定額パックやトラック積み放題をめぐる相談を取り上げています。 同センターへの不用品回収サービスに関する相談は2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と増加傾向にあり、2022年度も9月末までに857件が寄せられていました。
業者選びで確認する5つのポイント
1. 家庭ごみを運ぶ許可があるか
これが最も重要な確認項目です。 一般家庭から出た廃棄物を収集・運搬するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を受けているか、市区町村から委託を受けている必要があります。 環境省は「無許可」の回収業者を利用しないよう呼びかけるページで、無許可業者に渡した物が不法投棄された事例や、不適正な処理による発火の危険を挙げています。
紛らわしいのが、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では、家庭ごみを引き取れないという点です。 「許可を持っています」という説明を聞いたら、何の許可かまで確認してください。自社に許可がなく提携先に委託する形をとる業者もあるため、その場合は委託先を明示してもらいます。
2. 買取をするなら古物商の許可があるか
買取型を選ぶ場合、中古品を買い取って売る営業には古物営業法にもとづく古物商の許可が必要です(警察庁「古物営業・質屋営業について」)。 許可番号は各都道府県公安委員会が交付するもので、事業者のサイトや見積書に記載されているのが一般的です。
3. 見積書が「一式」で終わっていないか
金額の妥当性は総額では判断できません。次の内訳が分かれているかを見てください。
- 作業人数と想定作業時間(人件費が総額の大半を占めます)
- 処分費(リサイクル料金が別立てかどうか)
- 車両費(トラックの種類と台数)
- オプション費(消臭・清掃・供養など)
4. 追加料金が発生する条件が書面にあるか
国民生活センターは2018年7月19日にも遺品整理サービスの契約トラブルに関する注意喚起を出しています。 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた遺品整理サービスの相談は2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件で推移しており、「思わぬ追加料金が発生した」「作業内容が不十分なまま終わった」といった内容が紹介されています。 当日に物が増えた場合、階段作業になった場合、駐車位置が遠い場合の扱いを、契約前に文書で確認しておくと食い違いを防げます。
5. 資格の位置づけを正しく理解する
「遺品整理士」は遺品整理士認定協会が認定する民間資格で、国家資格ではありません。 資格の有無は業者の姿勢を測るひとつの材料にはなりますが、廃棄物を運ぶ許可の代わりにはならない点に注意してください。確認の優先順位は、許可 → 書面 → 資格の順です。
費用は誰が払うのか
遺品整理の費用を誰が負担するかについて、決まったルールはありません。実際には相続人の間の話し合いで決めることになります。 あとから「自分ばかり払った」という不満が出やすい部分なので、着手前に負担の分け方と、立て替えの記録の付け方を決めておくのが現実的です。
遺産分割の内容そのものに関わる判断や、費用を相続財産から出せるかどうかは個別の事情で変わります。当サイトは費用相場と比較の観点までを扱うため、判断が必要な場面では弁護士・司法書士・税理士などの専門家や、自治体の相談窓口に確認してください。
作業に入る前に何を優先すべきかで迷っている場合は、終活でやることを緊急度別に整理した優先順位マップで全体の順番を確認できます。 親の急変をきっかけに片付けを考え始めた段階なら、親が倒れたときに最初にすることをまとめたチェックリストが先です。 片付けたあとの建物をどうするかは実家を売る・貸す・解体する・そのまま持つの4択で比較した記事に、お墓の扱いは墓じまいの費用相場と自治体補助金の探し方にまとめています。
よくある質問
遺品整理の費用相場はいくらですか? 公的な統計はなく、複数の事業者・ポータルサイトが公開している目安を並べると1R・1Kで3万〜8万円、3LDKクラスで12万〜60万円という幅になります。同じ間取りでも情報源によって上限が2倍以上違うため、単一の金額を相場と考えず、複数社の見積もりを内訳ごとに比べるのが確実です。
業者が違法かどうかはどこで見分けられますか? 一般家庭の廃棄物を収集・運搬するには市区町村の一般廃棄物処理業の許可か、市区町村からの委託が必要です。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では家庭ごみを引き取れないため、「何の許可を持っているか」を具体的に確認してください。環境省も無許可の回収業者を利用しないよう注意を呼びかけています。
定額パックと訪問見積もりはどちらが安いですか? 物量が読めるワンルーム程度なら定額パックのほうが手軽で安く収まることがあり、物が多い家や搬出条件が悪い家では訪問見積もりのほうが結果的に総額を確定させやすくなります。定額パックを選ぶ場合は、積める体積や高さの上限と、超えた分の扱いを事前に書面で確認してください。
買取をしてもらえば費用は安くなりますか? 値のつく品があれば作業料金から差し引かれることがありますが、何をいくらで引き取るかが不透明になりやすい部分でもあります。買取品目と査定額を作業前に書面へ残してもらい、買取分を差し引く前と後の金額が見積書で分かるようにしておくと比較しやすくなります。
遺品整理の費用は誰が払うのが一般的ですか? 法律で決まったルールはなく、相続人の間の話し合いで決めるのが実際のところです。着手前に負担の分け方と立て替えの記録方法を決めておくと後の食い違いを防げます。相続財産からの支出として扱えるかどうかは個別の事情によるため、専門家に確認してください。
まとめ
- 遺品整理の費用に公的統計はなく、公開されている目安は情報源ごとに上限が2倍以上違う
- 金額を動かすのは間取りではなく、物量・搬出条件・オプション・買取の4条件
- 依頼の型は訪問見積もり・定額パック・買取併用の3つ。つまずく場所がそれぞれ違う
- 確認の優先順位は、一般廃棄物処理業の許可 → 見積書の内訳と追加料金の条件 → 資格
- 費用の分担に決まりはない。着手前に分け方と記録方法を決めておく