遺品の買取と不用品回収の違い|許可の見分け方と処分費を下げる順番
本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。広告収益がどのサービスを取り上げるかに影響する可能性はありますが、比較の基準と評価は公的資料・公開料金に基づいて独自に決めています。 詳しい広告表記はこちら。
遺品整理では、値のつく物を買い取ってもらうことと、値のつかない物を運び出して処分してもらうことが同じ現場で同時に進みます。この2つは法律上まったく別の行為で、必要な許可も許可を出す役所も違います。 買取には古物営業法にもとづく古物商許可(都道府県公安委員会)、家庭ごみの回収・運搬には廃棄物処理法にもとづく一般廃棄物処理業の許可(市町村長)が必要です。
この記事では2つの許可がどう違うのか、なぜ遺品整理でどちらも関わってくるのか、そして見積もりを取る前にどの順番で確認すればよいのかを、環境省・国民生活センターなど公的機関が公表している資料で整理します。
結論
遺品の買取と不用品回収は、法律上まったく別の行為です。買取は古物営業法の古物商許可(許可を出すのは都道府県公安委員会)、家庭ごみの回収・運搬は廃棄物処理法の一般廃棄物処理業の許可(許可を出すのは市町村長)で、根拠法も許可権者も違います。
そのため、片方の許可番号を見せられても、もう片方の許可を持っている証明にはなりません。環境省も「産業廃棄物処理業許可や古物商許可では家庭の廃棄物を回収できません」と明記しています。確認するのは、その市区町村の一般廃棄物処理業の許可があるかの1点です。

遺品の「買取」と「不用品回収」は法律上どう違いますか?
買取は中古品の売買にあたり古物営業法の規制を受け、家庭ごみの回収・運搬は**廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)**の規制を受けます。根拠法だけでなく、許可を出す役所そのものが違います。
| 買取(中古品の売買) | 家庭ごみの回収・運搬 | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 古物営業法 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 |
| 必要な許可 | 古物商許可 | 一般廃棄物収集運搬業の許可(または市町村からの委託) |
| 許可を出す役所 | 都道府県公安委員会 | 市町村長 |
| 対象になる物 | 一度使用された物品、または使用のために取引された未使用品 | 家庭から出る一般廃棄物(家庭ごみ) |
条文の言い回しを見ると違いがはっきりします。古物営業法3条は「古物商になろうとする者は、(略)都道府県公安委員会(略)の許可を受けなければならない」と定め、廃棄物処理法7条1項は「一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(略)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない」と定めています。
許可を出す役所自体が違うため、片方の許可証や許可番号を見せられても、もう片方の許可を持っている証明にはなりません。なお一般廃棄物収集運搬業の許可は「一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う」(廃棄物処理法7条2項)とされる更新制の許可です。
出典:e-Gov法令検索 古物営業法(2026年8月10日確認)、e-Gov法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(2026年8月10日確認)。
なぜ遺品整理では2つの許可が同時に関わってくるのですか?
遺品整理は、売れる物を買い取ってもらう作業と、売れない物を家から運び出して処分してもらう作業が同じ現場・同じ日程で発生することが多いためです。買取だけの許可を持つ業者が、そのまま家庭ごみまで運んでよいわけではありません。
環境省は無許可の回収業者に関する注意喚起で、次のように明記しています。
「産業廃棄物処理業許可や古物商許可では家庭の廃棄物を回収できません」
買取を古物商許可で行っている業者が、同じ現場で不要品の運び出しまで請け負う場合は、別途、一般廃棄物処理業の許可(または市町村からの委託)を持っているかを確認する必要があります。「買取もやっているので処分も一括で頼める」という説明を聞いたときほど、この点を分けて聞くことが大切です。
出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」(2026年8月10日確認)。
「許可番号が書いてある」業者なら安心できますか?

安心できません。書いてある許可番号が、今回頼みたい作業に対応した許可とは限らないためです。
環境省は、家庭ごみの無許可回収でよく見られる広告・営業の形として、次の4類型を挙げています。
- 町中を大音量で巡回する
- 空き地で回収する
- チラシを配布する
- インターネットで広告する
このいずれの形態でも、「産業廃棄物処理業許可 第◯◯号」「古物商許可 第◯◯号」のように、何らかの許可番号を提示している業者が含まれることがあります。しかし産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可は、いずれも家庭ごみの収集・運搬をカバーする許可ではありません。許可番号が表示されていること自体は、家庭ごみを運ぶ資格の証明にはならないのです。
見るべきは、その市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持っているかの1点です。多くの市区町村はホームページで許可業者の一覧や案内を公開しているため、依頼前にそこで確認できます。環境省も、廃家電や粗大ごみは「お住まいの市区町村が案内するルール」で処分することを基本とし、リユースを希望する場合は「古物商許可を持つ信用できる業者」を選ぶよう案内しています。
出典:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」(2026年8月10日確認)。
遺品整理業そのものに、許可や免許は必要ですか?
遺品整理という業種そのものを対象にした許可制度は、公的機関の一次情報では確認できません。古物営業法・廃棄物処理法はいずれも、買取や収集運搬という行為への許可であって、遺品整理という業種を直接規律する法律ではないためです。
この状況は、業界団体自身も認めています。遺品整理士の認定を行う一般財団法人 遺品整理士認定協会は、公式サイトで次のように説明しています。
「現時点では、遺品整理業に関する法整備がほとんど整っていないこともあり、不要品を不法投棄したり、不当に高額な料金を請求するような業者も少なからず存在します」
「遺品整理士」は同協会が認定する民間資格で、国家資格ではありません。資格の有無は業者の姿勢を測る材料のひとつにはなりますが、古物商許可や一般廃棄物処理業の許可の代わりにはなりません。業者選びで確認する項目を優先順位つきで並べたものは、遺品整理の費用相場と業者選びで確認する5つのポイントにまとめています。
出典:一般財団法人 遺品整理士認定協会「遺品整理士とは」(2026年8月9日確認)。

国民生活センターに寄せられる相談は、買取と処分でどう違いますか?
件数の推移を見ると、不用品回収サービスの相談のほうが急増しています。 ただし集計期間も対象範囲も異なるため、単純に「何倍」と比較できる数字ではありません。
遺品整理サービスに関する相談(PIO-NET)は、2013年度73件、2014年度109件、2015年度90件、2016年度114件、2017年度105件で、大きな増減なく推移していました。事例としては、見積もり時にせかされて契約した、解約時に高額なキャンセル料を請求された、処分しないよう頼んだ物を勝手に処分された、といった内容が紹介されています。
一方、不用品回収サービスに関する相談(PIO-NET)は、2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と増加が続いています。中心となる事例では、「軽トラックパック7,000円」といった広告を見て申し込んだところ、当日に2トントラックで訪問され、積み込み後に25万円を請求されたという内容が紹介されています。
「処分しないよう頼んだ物を勝手に処分された」という遺品整理側の事例は、買取と処分の境目をあいまいにされたときに起きやすいトラブルです。残す物・売る物(買取候補)・処分する物の3つを、依頼前に業者へ明確に伝えておくことが、この種のトラブルを避ける一番の手当てになります。
出典:国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」(2026年8月9日確認)、国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2026年8月9日確認)。
依頼前に、どんな順番で確認すればよいですか?
許可の種類 → 見積もりの内訳 → キャンセル条件、の順で確認すると、無許可業者に依頼してしまうリスクと、想定外の追加請求のリスクの両方を避けやすくなります。
- 買取をお願いする業者は、古物商許可番号を確認する(許可を出すのは都道府県公安委員会)
- 家庭ごみを運び出す業者は、その市区町村の一般廃棄物処理業の許可業者かどうかを、市区町村のホームページ等で確認する
- 複数社から見積もりを取り、作業内容と料金を明確に出してもらう
- 追加料金の有無を事前に確認する
- キャンセル料がいつから、どのように発生するかを確認する
- 残しておく遺品と処分する遺品、買取に出す遺品を明確に分けて伝え、書面に残す
- 依頼後に一般廃棄物処理業の無許可業者だと分かった場合は、作業を断る
1は警察庁「古物営業・質屋営業について」(2026年8月9日確認)、2・4・5・7は国民生活センターの「見積もりを取るときのポイント」、3・6は国民生活センターが遺品整理サービスの相談を受けて示した消費者へのアドバイスにもとづいています。
出典:国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」(2026年8月9日確認)、国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2026年8月9日確認)。
見積もりを取る相手の候補が自分では見つからない場合は、申し込みをまとめて受け付けているサービスを入口にする方法もあります。
全国対応の遺品整理サービス【遺品整理110番】どの入口から依頼する場合でも、上の1と2は省けません。買取を担当する事業者の古物商許可番号と、家庭ごみを運び出す事業者がその市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持っているかを、依頼する側で確認してください。
見積書のどの項目を並べて比較すればよいかは、生前整理の費用はどう決まる?業者への依頼範囲と見積もりの確認方法で項目ごとに整理しています。

自分で処分する場合との差は、どう見ればいいですか?
業者に頼む金額の高い・安いだけを見るのではなく、自分で自治体に出す場合の公定価格と比べると、業者に払っている金額が何の対価なのか(運搬・分別・買取交渉の手間)を判断しやすくなります。
名古屋市が公表している粗大ごみ手数料の例です。
| 手数料(令和8年9月収集分まで) | 品目の例 |
|---|---|
| 250円 | 換気扇、こたつ(こたつ板を除く)、照明器具、除湿器、炊飯器 |
| 500円 | オーディオ機器、ガスこんろ、ストーブ(ファンヒーター除く)、応接いす(1人用) |
| 1,000円 | オルガン、ステレオセット、電子レンジ、ふろがま、書棚(高さ120cm未満かつ幅90cm未満) |
| 1,500円 | カラオケ演奏装置、電子オルガン、応接いす(2人以上)、たんす(高さ120cm以上かつ幅90cm以上) |
この金額は名古屋市の例で、全国共通の相場ではありません。 粗大ごみの品目区分と手数料の体系は自治体ごとに異なります。また名古屋市はこの手数料を改定する予定で、令和8年10月1日以降に収集する粗大ごみからは、新しい手数料が250円〜2,500円の範囲でより細かく品目別に設定されるとしています。ここに挙げた金額は令和8年9月収集分までの数字です。
「業者は高い」と単純に判断する材料ではありません。業者が請け負っているのは、運び出す手間、分別する手間、買取できる物を見極める手間であり、それをどこまで自分でできるかによって、依頼する範囲を減らせるかどうかが変わります。自分で出せる範囲を自治体のルールで処分し、大型家具や搬出が難しい物だけを業者に頼む、という分け方もできます。作業範囲を自分と業者でどう分けるかは、生前整理の費用はどう決まる?業者への依頼範囲と見積もりの確認方法の「自分で進める範囲と業者に頼む範囲」で整理しています。
出典:名古屋市「粗大ごみ手数料のめやす」(2026年8月10日確認)。
買取額はどうやって決まりますか?

買取額は、品物の状態や相場、依頼するタイミングによって変わるため、依頼前に確定額を約束されることはありません。 査定は現物を見てから行われるのが基本です。
見積もりの段階で確認しておきたいのは、金額そのものより、買取を担当する事業者名、査定対象の品名、査定額、作業料金から差し引く前と差し引いた後の金額が、書面で分かれているかという点です。買取と処分をひとまとめにした「一式」の見積もりでは、何にいくら払っているのかが後から検証できません。買取を組み合わせた依頼の型(訪問見積もり型・定額パック型・買取併用型)ごとの比較は、遺品整理の費用相場と業者選びで確認する5つのポイントにまとめています。
片づけたあとの家をどうするかも、あわせて考える必要がありますか?
買取・処分の依頼と並行して、実家そのものを売る・貸す・解体する・そのまま持つのどれにするかを決める必要がある場合があります。この判断は片づけとは別の手続きなので、片づけの見積もりと混同しないほうが進めやすくなります。建物と土地の4択は実家を売る・貸す・解体する・そのまま持つの4択で比較した記事で整理しています。
終活全体の中で、片づけをどのタイミングで進めるべきか迷っている場合は、終活でやることを緊急度別に整理した優先順位マップで期限のある手続きとの順番を確認してください。生前整理・遺品整理の記事は生前整理・遺品整理の記事一覧にまとめています。
本記事は許可制度と確認方法についての一般的な整理です。個別の業者が適法に営業しているかどうかの最終確認は、古物商許可については許可を所管する都道府県警察、一般廃棄物処理業の許可についてはお住まいの市区町村の廃棄物担当課へ直接お問い合わせください。
よくある質問
遺品の買取と不用品回収はどう違いますか? 買取は中古品の売買にあたり古物営業法にもとづく古物商許可(都道府県公安委員会)が必要です。家庭ごみの回収・運搬は廃棄物処理法にもとづく一般廃棄物処理業の許可(市町村長)または市町村からの委託が必要です。根拠法も許可を出す役所も別なので、片方の許可があってももう片方の許可がある証明にはなりません。
許可番号が書いてあれば安心できますか? 書いてある許可番号が、今回頼みたい作業に対応した許可とは限らないため、それだけでは安心できません。環境省は、産業廃棄物処理業許可や古物商許可では家庭の廃棄物を回収できないと明記しています。確認すべきは、その市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持っているかという1点です。
遺品整理業そのものに免許は必要ですか? 遺品整理という業種そのものを対象にした許可制度は、公的機関の一次情報では確認できません。業界団体の遺品整理士認定協会も、遺品整理業に関する法整備がほとんど整っていないと公式サイトで説明しています。「遺品整理士」は同協会が認定する民間資格であり、国家資格ではありません。
買取業者に頼めば処分費が必ず安くなりますか? 必ず安くなるとは言えません。値のつく品があれば作業料金から差し引かれることはありますが、買取額は品物の状態や相場によって変わり、事前に確定額を約束されるものでもありません。買取を担当する事業者名・査定対象・査定額・差引後の金額が見積書で分かれているかを確認してください。
無許可の業者だと分かったらどうすればよいですか? 国民生活センターは、依頼後に一般廃棄物処理業の無許可業者であると分かった場合は、作業を断るよう案内しています。契約前であれば、市区町村のホームページ等で許可業者かどうかを確認し、許可の名称(一般廃棄物処理業の許可か、産業廃棄物処理業の許可か、古物商許可か)を具体的に尋ねることが有効です。