要介護認定の申請から結果までの流れ|必要な準備と待つ間にできること
結論
親の介護保険を使い始めたい家族は、市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターへ、要介護認定の申請を相談します。
申請に対する処分は申請日から原則30日以内。特別な理由があれば、同期限内に処理見込期間と理由を通知して延期できる制度です。
結果前のサービス利用も相談できます。認定の効力は申請日にさかのぼりますが、非該当・想定より軽い区分となったときの負担の扱いを、利用前に市区町村・ケアマネジャーと確かめます。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条1項・8項・11項(2026年9月17日確認)。

倒れた直後の病院への連絡や仕事・家族の分担は、親が倒れたら最初にすることのチェックリストにまとめています。介護以外の備えも含む優先順位は、子世代のための終活の優先順位マップで整理できます。
要介護認定とは何ですか?
要介護認定とは、介護保険でどの程度の介護や支援が必要かを、市区町村が調査と審査を経て認定する手続きです。要支援状態にあるかどうかを判断する要支援認定も、この流れに含まれます。
家族が希望の区分を選ぶ仕組みではありません。本人の心身の状況や主治医の意見を踏まえ、全国一律の客観的な基準で判定します。家族は先に要介護度を予測せず、普段の生活の様子を伝える準備をします。
出典:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」(2026年9月17日確認)。
誰が・どこに申請するのですか?
申請先は市区町村です。本人が手続きを進めにくいときは、家族による申請や、地域包括支援センターなどへの代行の相談から始められます。
介護保険法27条1項は、被保険者が申請書に被保険者証を添付して市町村へ申請する形を定めています。同項後段には、省令で定める指定居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設や、地域包括支援センターに、申請手続きを代わって行わせることができると書かれています。
家族の申請については、横浜市が本人または家族などによる区役所高齢・障害支援課での申請を案内しています。窓口名を全国共通と考えず、申請する市区町村の案内を使います。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条1項、横浜市「要介護認定について」(2026年9月17日確認)。
必要書類は申請先の案内に沿って揃え、主治医の情報も用意します。
申請後には何が起きますか?
認定調査と主治医意見書が判定の材料になり、コンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定へ進みます。家族が判定書類をすべて完成させる流れではありません。
認定調査では何を調べますか?
本人との面接を通じて、心身の状況や置かれている環境などを調べます。介護保険法27条2項が、この調査を定めています。
認定調査票は「概況調査」「基本調査」「特記事項」の構成で、基本調査が74項目です。これは基本調査の数であり、認定調査の全体を指す項目数ではありません。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条2項、厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版(令和6年4月改訂)」(2026年9月17日確認)。
家族は普段の様子を伝えられるよう、同席とメモを準備します。区分を上げるための回答を考えるのではなく、日常の実態を共有する準備です。
主治医意見書は家族が取り寄せるのですか?
主治医への意見照会は市区町村が行います。介護保険法27条3項が市町村による照会を定めており、名古屋市も、申請書に書かれた内容をもとに市が主治医へ作成を依頼すると案内しています。
家族は、申請書に記載する医療機関名・医師名を整理します。しばらく診察を受けていないときは、申請前に主治医へ相談します。名古屋市は、受診間隔が空いていると医師の判断で意見書を記載できず、認定結果の遅延につながる旨を説明しています。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条3項、名古屋市「要介護認定等の申請」(2026年9月17日確認)。
一次判定と二次判定はどう違いますか?
一次判定は認定調査と主治医意見書に基づくコンピュータ判定、二次判定は介護認定審査会による審査判定です。審査会は保健・医療・福祉の学識経験者で構成され、一次判定結果や主治医意見書などを踏まえて判断します。
出典:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」(2026年9月17日確認)。
結果はいつ・どのように届きますか?
市区町村から結果が通知されます。介護保険法27条11項が定めるのは、申請のあった日から30日以内に、申請に対する処分をするという期限で、調査日や主治医の診察日が起点ではありません。
同項には延期の条件もあります。心身の状況の調査に日時を要するなど特別な理由があるときは、申請日から30日以内に、処分までになお要する「処理見込期間」と理由を本人へ通知して延期できます。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条11項(2026年9月17日確認)。
処分期限は結果が自宅に届く日の保証ではありません。通知の受け取り方を窓口へ尋ね、申請日と延期後の処理見込期間を分けて控えます。
認定の有効期間はどのくらいですか?
新規と更新で原則の期間が異なります。次の月数に加え、認定が効力を生じた日からその月末までの期間が算入されるため、実際の期限は通知の満了日で管理します。
- 新規の要介護認定:原則6か月。認定審査会の意見に基づき市町村が特に必要と認めるときは、3〜12か月の範囲で定められます(介護保険法施行規則38条1項)。
- 新規の要支援認定:原則6か月。同様に、認定審査会の意見に基づき市町村が特に必要と認めるときは3〜12か月の範囲です(同52条1項)。
- 要介護更新認定:原則12か月。認定審査会の意見に基づき市町村が特に必要と認めるときは3〜36か月で、更新後の区分が現在と同一の場合に限り最長48か月までです(同41条2項)。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法施行規則38条、同52条、同41条2項(2026年9月17日確認)。
要介護更新認定の申請期間は、有効期間満了の日の60日前から満了の日までです。通知を受け取ったら区分だけでなく、満了日と更新申請の時期も家族で共有します。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法施行規則39条(2026年9月17日確認)。
要支援・要介護の区分は何で決まりますか?
判定で使うのは介護の必要性を量る基準で、家庭で手伝った時間を足して区分を決める仕組みではありません。厚生労働省は「要介護認定等基準時間」を次のように示しています。
| 区分 | 要介護認定等基準時間 |
|---|---|
| 要支援1 | 25分以上32分未満、又はこれに相当すると認められる状態 |
| 要支援2・要介護1 | 32分以上50分未満、又はこれに相当すると認められる状態 |
| 要介護2 | 50分以上70分未満、又はこれに相当すると認められる状態 |
| 要介護3 | 70分以上90分未満、又はこれに相当すると認められる状態 |
| 要介護4 | 90分以上110分未満、又はこれに相当すると認められる状態 |
| 要介護5 | 110分以上、又はこれに相当すると認められる状態 |
出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2026年9月17日確認)。
表の時間の意味について、同省は次のように説明しています。
要介護認定の一次判定は、要介護認定等基準時間に基づいて行いますが、これは1分間タイムスタディという特別な方法による時間であり、実際に家庭で行われる介護時間とは異なります。
出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2026年9月17日確認)。
基準時間は、受けられる訪問介護・訪問看護などの合計時間とも直接連動しません。
要支援2と要介護1の時間帯が共通でも、時間だけで判定は決まりません。厚生労働省は、32分以上50分未満に相当する人のうち、心身の状態が安定していない人や、認知症などにより予防給付等の利用を適切に理解することが困難な人を、予防給付の対象から除くと説明しています。
病気の重さと要介護度の高さも別です。判断するのは介護サービスの必要度であり、病名だけから区分を予測せず、結果の疑問点を市区町村へ尋ねます。

結果が出る前にできることはありますか?
市区町村や地域包括支援センターへ、結果前のサービス利用について相談できます。申請が済んでいることと必要な支援を伝え、ケアマネジャーと暫定ケアプランによる利用を相談します。
法的な土台は、介護保険法27条8項にある認定の効力です。
要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条8項(2026年9月17日確認)。
認定結果が出れば、申請日以降の利用が保険給付の対象になりうるため、結果前でも利用開始を相談できます。さかのぼる起点は申請日で、家族が介護を始めた日ではありません。
非該当や想定より軽い区分だったときの費用の扱いは、利用前に市区町村・ケアマネジャーへ照会します。暫定ケアプランという名前だけを根拠に、支払いの心配がなくなると考えないようにします。
相談用のメモには、申請日、結果を待つ間に必要な支援、利用を始めたい時期、認定結果が想定と違ったときの費用について聞くことを分けて書きます。認定の進捗と暮らしの困りごとを一緒に伝える準備です。
居宅サービスの限度額と自己負担はどう違いますか?
区分支給限度基準額は、居宅サービスを利用する際の保険給付の枠で、家族が払う月額そのものではありません。正式な数字は単位数で、円の換算額と分けて読みます。
要支援1は月5,032単位、要支援2は月10,531単位です。厚生省告示第33号の単位数は、2019年10月1日適用の改定以降、据え置かれています(2026年9月17日確認)。
出典:厚生労働省「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額」厚生省告示第33号(最終改正:平成31年厚生労働省告示第101号、2019年10月1日適用、2026年9月17日確認)。
要介護の区分ごとの月の単位数は、次のとおりです。
| 区分 | 月の限度基準額 |
|---|---|
| 要介護1 | 16,765単位 |
| 要介護2 | 19,705単位 |
| 要介護3 | 27,048単位 |
| 要介護4 | 30,938単位 |
| 要介護5 | 36,217単位 |
出典:厚生労働省 厚生省告示第33号「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額」(2019年10月1日適用、2026年9月17日確認)。
厚生労働省の案内では、要支援1の5,032単位を、1単位=10円で月50,320円と示しています。この円の額は目安で、実際の単価は地域区分とサービスの種類によって変わります。
限度額内の利用者負担は介護サービス費の1割、一定以上の所得がある人は2割または3割です。限度額を超えた利用については、超えた分が全額自己負担になります。サービスの量の上限と、利用者の負担割合は別の数字です。
出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026年9月17日確認)。
この単位数を施設の支払総額へ置き換えることはできません。入所後の費用構造は、老人ホームの費用が月額だけで決まらない理由で扱っています。親の口座からの支払いが気になる人は、認知症による銀行口座の制限と生前の備えも別に整理しておきます。
家族はどの順番で準備すればよいですか?
「家族の準備」と「市区町村などが進める工程」を分けて管理します。手続きの進行に合わせて、次に連絡する相手を整理した表です。
| 段階 | 家族の準備 | 相談・確認先 |
|---|---|---|
| 申請前 | 申請方法と必要書類を聞き、主治医の情報を整理する | 市区町村・地域包括支援センター |
| 申請 | 案内に沿って提出し、申請日と連絡先を控える | 市区町村の窓口・代行の相談先 |
| 認定調査 | 普段の様子を伝えるため、同席とメモを準備する | 認定調査を担当する窓口 |
| 結果を待つ間 | 必要な支援と、結果前に利用する際の負担を相談する | 市区町村・ケアマネジャー |
| 結果通知 | 認定区分と有効期間の満了日を記録する | 通知した市区町村 |
| 利用の相談 | 認定結果を踏まえてサービス利用の計画を相談する | 地域包括支援センター・ケアマネジャー |
出典:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」、名古屋市「要介護認定等の申請」(2026年9月17日確認)。表は制度の流れを家族の準備に沿って整理したものです。

よくある質問
親が65歳未満でも申請できますか?
40〜64歳の医療保険加入者は第2号被保険者に当たり、加齢に伴う16種類の特定疾病によって介護や支援が必要になった人が認定の対象です。年齢だけで対象になるのではなく、疾病との関係が条件に含まれます。厚生労働省は介護保険法施行令2条に基づく個別疾病名を列記しており、個々の病名や状態の該当性は主治医・市区町村へ相談します。
出典:名古屋市「要介護認定等の申請」、厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方・特定疾病の範囲」(2026年9月17日確認)。
介護保険被保険者証をなくしていたら、先に再発行が必要ですか?
自治体の案内が異なります。横浜市は紛失などで原本を添付できなくても申請受付が可能と案内し、名古屋市は紛失時に先に再発行の手続きが必要としています。ほかの自治体の対応をそのまま当てはめず、申請する市区町村へ紛失したことを伝えて手順を尋ねます。
出典:横浜市「要介護認定について」、名古屋市「要介護認定等の申請」(2026年9月17日確認)。
主治医がいないと申請を進められませんか?
主治医がいないときなどは、市町村が指定する医師の診断を受けるよう命じることができると、介護保険法27条3項に定められています。家族だけで依頼先を決めず、主治医がいないことを申請先へ伝えて案内を受けます。
出典:e-Gov法令検索 介護保険法27条3項(2026年9月17日確認)。
有効期間の途中で親の状態が変わったら、更新まで待つのですか?
名古屋市は、有効期間内に心身の状況の変化などで改めて認定を受けようとするときは、いつでも区分変更申請ができると案内しています。現在の状態と認定結果について疑問があるときは、市区町村へ相談します。区分変更を申し出ることと、希望の区分が認められることは別です。
出典:名古屋市「要介護認定等の申請」(2026年9月17日確認)。
まとめ
- 申請の入口は市区町村。家族による申請や地域包括支援センターなどへの代行の相談から、主治医情報と調査の準備を進める。
- 結果通知は認定区分と満了日を一緒に読む。処分期限と延期の条件、有効期間と更新申請の時期を混同しない。
- 結果前の利用は相談できるが、非該当や想定より軽い区分になったときの負担を利用前に照会し、認定の効力だけで支払いを判断しない。