墓じまいの補助金がある自治体はどこ?実例2件と「制度なし」の実態

「墓じまい 補助金」で検索すると、自分の自治体にも何かしらの制度があるはずだと思えてきます。 ですが公開情報を確認していくと、実際に制度を設けている自治体はごく一部です。横浜市・神戸市・大津市・京都府(京都市を除く)は、いずれも公式サイトで「補助金制度はありません」と明言しています。 むしろ横浜市は専用ページまで作って「ありません」と案内しており、この事実自体が、問い合わせの多さと制度の不在を同時に示しています。

一方で、千葉県市川市と浦安市では、実際に撤去費用の一部を助成する制度が確認できました。ただしどちらも対象は市営霊園・市営墓地公園の区画を返還する場合に限られ、寺院墓地や民営霊園の墓じまいには使えません。

この記事では、確認できた実施例2件と、公式に「ない」と案内している自治体の実例を並べ、自分の自治体に制度があるかを調べる手順を整理します。費用の内訳や改葬先ごとの比較は墓じまいの費用相場と自治体補助金の探し方にまとめているので、あわせて確認してください。

墓じまいの補助金とは何か

墓じまいの補助金とは、自治体が運営する墓地(市営霊園・市営墓地公園など)の使用者が区画を返還する際、墓石の撤去や原状回復にかかる費用の一部を自治体が助成する制度です。国が定めた全国一律の制度ではなく、実施するかどうか・金額・対象は自治体ごとの判断に委ねられています。

制度名に「補助金」と入っていないことも多く、「原状回復」「返還促進」「墓所返還者支援」といった名称で設けられているのが実際のところです。実施するかどうかを法律で義務づける規定はなく、財源も各自治体の予算です。同じ県内の隣接する市でも、片方にはあり片方には無いという状況が普通に起こります。

多くの自治体は「補助金制度はありません」と公式に案内している

全国の自治体を網羅した集計は存在しませんが、今回確認できた範囲では、次の4自治体がいずれも公式サイトで「墓じまいの補助金制度はない」と明記していました。

自治体公式の記載(要約)確認日
横浜市「横浜市には墓じまいに関する補助金制度はありません」と専用ページで案内2026年8月10日
神戸市助成金制度を設けていない旨を案内2026年8月10日
大津市「墓じまいに関する補助金や助成金の制度は設けておりません」と案内2026年8月10日
京都府(京都市を除く)墓じまいに対する補助制度がない旨をFAQで案内2026年8月10日

出典:横浜市「墓じまいに関する補助金制度」(2026年8月10日確認)・神戸市「墓じまい」(同日確認)・大津市「墓地・霊園」(同日確認)・京都府FAQ(同日確認)。

なかでも横浜市は、「補助金はありません」という一言のためだけに独立したページを作っています。わざわざページを立てるということは、それだけ同じ質問が繰り返し寄せられているということです。京都府も同じ内容をFAQの1項目として立てています。「調べても見つからない=探し方が悪い」ではなく、「制度自体が無い」というのが、むしろ標準的な答えだと考えたほうが実態に近いといえます。

ここで挙げた4自治体はいずれも大都市・都道府県単位の窓口です。今回のパックでは全国の市区町村を網羅的に調べたわけではないため、「地方の小規模な自治体には制度があるかもしれない」という可能性まで否定するものではありません。ただし、少なくとも人口規模の大きい自治体では「無い」ことのほうが確認しやすい、という傾向は言えます。

補助金を確認できたのは2件:千葉県市川市・浦安市

今回、撤去費用そのものを助成する制度として一次情報に到達できたのは、千葉県市川市と浦安市の2件でした。

千葉県市川市千葉県浦安市
制度名霊園一般墓地返還促進事業墓所返還者等支援事業
対象市川市霊園の一般墓地の使用許可を受けている人墓地公園の通常墓所・小型墓所の使用許可を受けている人
撤去費用の助成75,000円〜440,000円(墓地の種類・規模による)上限150,000円
今の受付状況令和8年5月22日時点で受付終了(予算枠制)随時受付

出典:市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」(2026年8月10日確認)・浦安市「墓所返還者等支援事業」(同日確認)。

市川市の制度は、令和8年5月22日時点で受付を終了しています。 予算の枠が決まっている制度で、「予算がなくなり次第受付終了」という条件がついているためです。「市川市には補助金がある」と現在形で書いてある情報を見かけても、申請できる時期とは限りません。着工前に必ず市川市霊園管理事務所へ、今の受付状況を確認してください。

浦安市は随時受付としていますが、条件や金額は年度によって見直される可能性があります。金額の詳しい内訳や、市川市の使用料返還制度とあわせた比較は墓じまいの費用相場と自治体補助金の探し方で確認できます。

対象は「市営墓地の返還」に限られる

確認できた2件は、いずれもその自治体が運営する墓地(市営霊園・市営墓地公園)の区画を返還する場合だけを対象にしています。寺院墓地や民営霊園の墓じまいには使えません。

自分のお墓がどちらに当たるかを最初に確認しないと、時間をかけて調べたあとに対象外だと分かるという空振りが起きます。確認する順番は次のとおりです。

  1. 使用許可証や墓地の契約書を見て、運営者が自治体かどうかを確認する
  2. 自治体が運営していない場合は、その自治体の補助制度はまず対象外になる
  3. 民営霊園・寺院墓地の場合は、霊園や寺院そのものの規約(返還時の原状回復義務など)を管理者に確認する

改葬の許可と補助金の申請は別の手続き

墓じまいでは、補助金の申請とは別に、改葬(遺骨を今のお墓から別の場所へ移すこと)の許可が法律で義務づけられています。「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)第5条1項は、改葬を行う者に市町村長の許可を受けることを義務づけ、同条2項は、その許可を出すのは移転先ではなく「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」、つまり今お骨がある場所の市町村長だと定めています(墓地、埋葬等に関する法律5条(e-Gov)、2026年8月10日確認)。

改葬許可はどこで墓じまいをする場合でも必要な手続きで、補助金の有無とは関係がありません。一方、補助金は自治体が任意で設けている助成であり、申請するかどうかは使用者の判断です。両者は窓口が同じ自治体になることが多いものの、別の制度として動いています。 改葬許可の申請に必要な書類や手続きの流れは墓じまいの費用相場と自治体補助金の探し方で確認してください。

補助金の対象になっているのは、あくまで「墓地の使用許可を受けている人」です。市川市・浦安市とも、対象欄に「使用許可を受けている人」と明記されています。使用許可の名義が誰になっているかは、申請の前に担当課へ確認しておくとよい点です。名義の確認は、相続に関わる他の手続きとあわせて把握しておくと動きやすくなります。相続に関わる期限は相続手続きの期限をまとめた記事で整理しています。

自分の自治体を確認する方法

補助金の有無を調べるときは、次の順に確認すると遠回りを避けられます。

手順1:お墓が市営(公営)かどうかを確認する 民間霊園や寺院墓地であれば、多くの場合そもそも対象外です。ここで公営でないと分かれば、以降の手順は不要になります。

手順2:お墓がある自治体のサイトで「補助金」以外の語で探す 探すのは自分の住所地ではなく、お墓がある自治体です。制度名に「補助金」と入っていないことが多いため、「霊園 返還」「墓地 返還」「墓所返還」「原状回復 墓地」といった語で検索するほうが見つかりやすくなります。

手順3:見つからなければ、担当課に直接確認する 自治体のサイト構成はばらばらなので、検索で見つからないことも珍しくありません。窓口は環境衛生課・生活衛生課・霊園管理事務所などです。「制度がない」という答えも、確認できたという意味では前進です。

手順4:申請の順番を確認してから着工する 助成は工事後の精算が基本ですが、市川市のように先に申請や承認が必要な制度もあります。石材店に発注する前に、申請の要否と必要書類を担当課で確認してください。

より詳しい調べ方の手順と、費用の内訳全体は墓じまいの費用相場と自治体補助金の探し方の「自治体の補助制度を自分で調べる5つの手順」にまとめています。お墓の話が、実家の片づけや親の入院と同時に持ち上がることもあります。全体の優先順位は終活でやることを緊急度別に整理した記事、親が倒れた直後の動き方は親が倒れたときに最初にすることをまとめた記事、実家そのものの扱いは実家じまいで先に決めるべきことの順番で整理しています。

よくある質問

墓じまいをすれば必ず補助金がもらえますか? もらえません。今回確認できた範囲では、撤去費用を助成する制度を実施している自治体は千葉県市川市と浦安市の2件だけで、横浜市・神戸市・大津市・京都府(京都市を除く)は公式に「制度はありません」と案内しています。まずは自分の自治体に制度があるかどうかを確認するところから始める必要があります。

どんな自治体に補助金制度がありますか? 確認できた市川市・浦安市は、いずれも自治体が運営する市営霊園・市営墓地公園の区画を使用者本人が返還する場合が対象です。寺院墓地や民営霊園の墓じまいは、この2件の制度の対象にはなりません。

補助金がない場合、費用を抑える方法はありますか? 自治体の補助金がない場合でも、墓石の撤去費用は業者によって差が出やすい部分です。複数の石材店から見積もりを取り、内訳(人件費・処分費・車両費など)を並べて比べる方法があります。費用の内訳全体は墓じまいの費用相場と自治体補助金の探し方にまとめています。

改葬の許可と補助金の申請は同時に進められますか? 別の手続きなので、それぞれ確認が必要です。改葬許可は法律で義務づけられた手続きで、許可を出すのは今お骨がある場所の市町村長です。補助金は自治体が任意で設ける助成で、窓口が同じ自治体になることもありますが、申請の要否や時期は別に確認する必要があります。

市川市の補助金は今から申請できますか? 令和8年5月22日時点では受付を終了しています。予算の枠が決まっている制度のため、次年度に募集が再開されるかどうかは公表されていません。申請を検討する場合は、着工前に市川市霊園管理事務所へ最新の受付状況を確認してください。

まとめ

本記事は一般的な制度と手続きの流れをまとめたものです。制度の有無・金額・条件は自治体ごとに変わり、年度によって見直されることもあるため、申請を検討する場合は必ずお墓がある自治体の公式サイトで最新の情報を確認するか、担当課へ直接問い合わせてください。